野尻高原大学村へのお誘い

 

 

 

 

 

 

野尻湖花火大会

毎年7月末土曜日に行われます。

野尻高原大学村は、北信の名山黒姫の雄大な裾野が、ゆるく東に傾斜して野尻湖をつつみ、はるか斑尾山頂に至る広大な高原地帯に位置を占めています。自然に恵まれた森のなかで、心身の静養を図り、思索を楽しむ「別天地」を求めて、大学村は創設され、そして、はや半世紀がたちました。

 大学村は、季節によって、その装いを変えていきます。春、こぶしが白い花を咲かしだすと、ほかの木々も一斉に芽をふき始めます。大山サクラ、丁字サクラがそのあと続き、森全体が緑に包まれます。都会では暑さにあえいでいる夏、大学村はひんやりしています。秋には、足元にたくさんのきのこが顔を出します。タマゴダケの真っ赤さには驚いてしまいます。また、丸々と太った山栗が、毎日降るようにおちてきます。そして雪に閉ざされる冬、しかしそのまっ白な雪原の上に、うさぎ、リス、キツネ、たぬき、テンなどの足跡がついています。キツネの親子が4匹、ぴょんぴょんはねるのを見たラッキーなひともいます。

大学村は1年を通して、「別天地」であります。

こんな森の中で過ごしてみませんか。

 

野尻湖大学村へのお誘い

 一般社団法人野尻高原大学村は、長野県信濃町の野尻湖西方、黒姫山が始まる最初の山塊に広がる森の中にあります。1965(昭和40)年に開村した会員制の別荘地です。無給奉仕の会員が理事会を構成。管理棟前に大学村憲章を掲げ、「思索を楽しむ『別天地』を求めて、静寂な環境を保ち、自然を共通の財産とする」旨をうたっています。さらに現在では森林学と大脳生理学の専門家を大学村に招き、最新の知見である「森の超高周波音」を意識した森づくりに力を入れております。人工空間に疲れた都会人に森林浴の癒やし効果を実感していただきたく、入村案内のパンフレットをつくりました。

 

開村50年を過ぎて

大学村の総面積は52㏊。約380区画あり、うち山荘は230軒ほどです。1区画の平均面積は約1,000㎡。全区画に電気、水道の配線配管あり。駐車が可能です。管理人の2人態勢で維持、管理を続けています。

西山夘三・京都大学教授(当時)ら大学人が開発しました。西山夘三先生は住宅公団の間取りや千里ニュータウンの地域計画、大阪万博の会場づくりなど、住居空間の演出を究めた方です。西山先生をはじめ当時の創立メンバーは、若き大学人が山荘生活をできるようにと基本住宅を設計し、資材の一括購入で格安の別荘を建てました。

大学人による大学人のための別荘地が出発点で、村名の由来でもあります。

半世紀を過ぎて大学関係者は半数程度となり、今では色々な分野の経歴をお持ちの方々が森の生活を過ごしています。近年、会員の世代交代が進み、新たに会員を募集しております。この案内パンフレットをお読みいただき、大学村の入村をご検討くださるようお願い申し上げます。

 

 アクセスは、車だと最寄りの上信越自動車道信濃町インターチェンジまで首都圏から約3時間半、鉄道は北陸新幹線で長野駅下車、しなの鉄道北しなの線に乗り換え、黒姫駅下車、その後タクシー(約2,000円)で。

名古屋方面からは車で3時間。鉄道はJR中央線で長野駅終点。しなの鉄道北しなの線に乗り換え、同上の径路で。

 京阪神から車で5~6時間。鉄道は新幹線名古屋駅、JR中央線と乗り継ぎ、同上の径路で。

 

野尻湖 北信五岳 そして温泉郷

 当地は妙高戸隠連山国立公園にあり、歩いて15分ほどにある野尻湖は天然湖としては長野県内で諏訪湖に次ぐ大きさの湖です。カヤックなど水上レジャー関係の施設が充実しています。湖岸を散策すると北信五岳と呼ばれる五つの山、妙高山、黒姫山、戸隠山、飯縄山、斑尾山が見えます。

各山にスキー場がありますが、最寄りの黒姫山の雪は日本海から入ってくる際、湿気が適度に抜けた、いわゆるスノーパウダーで滑りやすいという評判です。

 少し足を伸ばせば、山岳信仰の霊場、戸隠神社が鎮座します。

 隣接する新潟県妙高市の妙高高原温泉郷には7つの温泉があります。車で10分ほど走ると源泉掛け流しの日帰り入浴施設が数カ所あり、楽しみの一つとなるでしょう。

 このように大学村は登山、スキー、水上レジャー、温泉入浴等の拠点となり、山荘生活の彩りを広げます。

 

そば 山菜 キノコに囲まれて

標高650メートル前後の高原にある大学村の前身は炭焼き用の林でした。このため、炭材のコナラ、ミズナラの林が中心です。やま栗はかなり実を成らせます。次に広いのはカラマツ林、そしてシラカバなどの雑木林が多い。

動物ではクマが時折出没します。カモシカ、シカ、サルの群れが訪れます。キツネ、タヌキ、テン、ウサギはかなり棲んでいます。ムササビ、リス、各種ネズミ、ヤマネ、モグラを確認しています。

オオタカ、トビ、フクロウ、アカゲラ、オオルリなど鳥類、小鳥はたくさんいます。池があるので、アオサギ、カモ類など水鳥も訪れます。

昆虫、カエル、蛇など様々な生き物が生息しています。それらの戦いも観察できます。

 

四季の変化は劇的に訪れます。

 4月半ば、雪が融けるとヤマザクラの濃いピンクの花とコブシの白い花が競うように咲きます。その後、新芽が噴き出し、若葉が風にそよぐ頃、ワラビが頭をだします。ゼンマイ、フキ、たらの芽、コシアブラ、コゴメ、ウドなどで各自の敷地内は山菜の宝庫となります。

 

夏は涼しく、日中最高気温が30度を超えることは、年に3日以上はありません。寝苦しい夜は皆無です。北アルプスの冷気が戸隠山から黒姫山の裾を回って信濃町へ流れてくるため避暑に適すといわれています。大学村にはこの効果が強いようです。

 

 紅葉の季節は2回訪れます。10月下旬、カエデ類の葉が色づきます。深紅に染まる葉もあれば艶めく黄色を発する葉もあります。11月半ばにはナラ類の紅葉が滝のように音を立てて舞い降ります。木の実がピシッピシッと地面をうち、秋の協奏曲のようです。

 

 そして、新そばの季節。寒暖の差が大きい信濃町のそばは霧下そばと呼ばれ、香り、風味とも絶品です。大学村では毎年11月初め、新そばの会を開きます。町内の有名そば店が出張し、ゆがいてもらいますが、毎回好評の企画です。

 ここで一句。誰がつくったか、一茶風のうたい文句ですが、

 信濃では 月と仏と おらが蕎麦

 

 秋の森の喜びはキノコ狩りです。ジコボウは地元の人が最も好むキノコ。各自の敷地内や道路端で群生するクリタケ、ナラタケ、マイタケなどを見つけた時の興奮は何に例えればよろしいでしょうか。しかし、見つけた場所は秘密です。この探り合いも話の種になるのです。キノコ狂想曲です。

 

11月半ばにもなりますと初雪が降ります。冬の最低気温はマイナス9度に達し、優に2m以上の雪に閉ざされます。風向きや降雪の具合によって4m以上の積雪に及ぶ場所もできます。深い雪。沈黙が続く冬です。まきストーブの炎を見続けてしまいます。最近はスノーシューの普及で雪原上の行動半径はぐんと広がり、雪の世界を満喫できます。

雪下ろしは一括して管理人が引き受けています。この方式で費用は相場の半額程度、約2万円(30年間平均)で済んでいます。

是(これ)がまあ つひの栖(すみか)か 雪五尺

 当地出身の俳人小林一茶がこう詠んだのも宜なるかな、と実感されます。

 

水道水は黒姫山の湧水

自慢は水道水。原水は黒姫山腹の「鬼の釜水源地」からの湧水です。信濃町建設水道課が「消毒の必要がないほどだが、法律に従い、最小限に抑えている。ミネラル成分を豊富に含んだ軟水で口当たりのよいおいしい水」と保証。お茶やコーヒーが格段においしくなります。ウイスキーの水割り、焼酎のお湯割りにも…、もちろんです。

 

新田舎づくりを

 大学村が都会人に入村を呼びかける理由があります。

 太平洋側では首都直下型地震や東南海・南海トラフ大地震の発生が高確率で見込まれます。関東大震災(1923年)の時は出身地の農村がありましたが、今の都会人は田舎を持たない、大家族制ではないので実家を頼るにしても大きな期待はできない、仮設住宅は厖大な避難民に対してどこまで頼りにできるか、の根無し草となります。大学村に「新しい田舎」をつくる、という選択は現実味を帯びています。

 

新しい森林セラピー「森の超高周波音」

大学村が開村50年を機に最重要課題として取り組んでいる森林整備について説明します。

大学村の森の森林更新と新しい森林セラピー「森の超高周波音」について周知を図ろうと、毎年、森に関する企画を主催しています。

2019(令和元)年8月にはシンポジウムと「森の超高周波音」研究者の講演を開きました。

「暮らしの森づくりシンポジウム」ではC.W.ニコルさん、元NHKニュースキャスターの野中ともよさん、総合地球環境学研究所の中静透教授、長野県・木曽の池田木材、池田聡寿社長、舞根森里海研究所の田中克所長の5氏が登壇。森を経済、林業、生活、健康など多方面から分析し、子どもが森で遊ぶことの重要性が指摘されました。

 

パネリストの一人、田中克氏は京都大学教授時代、森里海連環学という新しい環境学を打ち立てた人です。大学村の村民でもあり、大学村での生活体験をもとに森がもつ健康増進の効果を述べました。

 

 …大学村の四季を、いま本当に楽しんでいます。自分の健康寿命が延びているなと感じています。

 現役最後のころ、(国立大学の独立行政法人化の)仕事、仕事、仕事、会議、会議、会議でストレスまみれとなり、家内がたまりかねて病院に連れていった。診察中にばたんと倒れて、即休職です。それも極度のうつ状態。

 治療の後半を大学村の森の中で、ちょうど新緑がわっと輝き始めて、いろんな生き物があふれる中で療養したら、物の見事に回復しました。森に助けられた。

 当時、どうして、そんなに森に力があるのか、まったく分かりませんでした。その後、出合ったのが、耳では聞き取れない「森の超高周波音」の存在。これが私たちの体や心に恵みとなるのですね。ハイパーソニック・エフェクトと呼ばれています。

 森の中の心地よさの秘密は、どうも音だろうと。しかも聞こえない音。これに意味がある。「森の超高周波音」が知られて、自然とつながりながら暮らしをすれば、西洋医学にかからなくて、医者や薬に、そんなにお世話にならなくすむ。医療費も大きく下がる。国家財政にまで関わるのではないか。

 ぜひこの大学村、黒姫、野尻高原、信濃町を多くの人に利用してもらいたい、楽しんでもらいたい。それが世の中を変えることにもつながるのではないかという気持ちです…

 

「森の超高周波音」について国立精神・神経医療研究センター疾病研究第七部の本田学部長を招いて講演してもらいました。

題して「音のビタミン 〜ハイパーソニック・エフェクト〜」。

森林浴効果を脳科学の分野から掘り下げる内容でした。「情報医療」という新しい研究の話も聞くことができました。

以下は本田先生の講演からです。

…人類の進化のゆりかごとなった熱帯雨林の自然環境の中には、人間の耳では音として感じることのできない高い周波数の音の成分が満ちあふれているのに対して、都市の人工的な環境の中にはほとんど含まれないことを発見しました。さらに、こうした高い周波数成分を含んだ音は、健康の脳機能と美と快感の脳機能を一緒に高めることを解明し、ハイパーソニック・エフェクトと名付けました。ハイパーソニック・エフェクトは、まるでビタミンのように、私たちが健康を維持するうえで欠かせないものである可能性が濃厚です…

以上、縷々述べてきましたように大学村は「静寂の森に住む」意味や意義、価値を探り、森の生活を共にする仲間を募っています。

ぜひ、大学村入村のご検討をお願い申し上げます。

(以上の文章は2019年11月現在のデータに基づいています。)